飛騨・信州 名泉の旅 「白骨温泉」

Ed8mbvdz 再び国道158号線に乗り上高地方面へ。乗鞍の山々はまさに紅葉の絶頂を迎えていた。燃えるように赤い山、黄金に輝く山、美しいの一言に尽きる。車を降りてカメラを構える観光客が多くいたが、確かにカメラに収めるべき絶景である。そんな山を眺めながら白骨温泉の看板を右に折り、急に険しい山道へ。有名な白骨温泉へ向かう。今ではすっかり有名になって、もはや秘湯とは言えない存在だが、道中の細く危険な山道はまさに秘湯を思わせる。この温泉を有名にしたのはその独特な白濁の湯の名声からだったが、皮肉にもその白濁の湯はまた数年前の一連の温泉偽装事件の立役者として有名となってしまった。今回入った湯はその偽装の中心となった公共野天風呂。川のそばの急な谷間に小さな露天風呂があり、情緒あふれるすばらしい湯だ。残念ながら湯を白濁させるために入浴剤を使っていたことで一躍有名になってしまったが、今は改め入浴剤を使っていないようで、やや白濁はしているものの、透明に近いお湯だ(昔はもともとかなり白濁した湯だったそうで、いつしか薄くなってしまったために、良からぬ事に手を染めてしまったとのことだ)。やや硫黄の臭いが漂い、湯上がりのポカポカ感が強烈で、いかにも成分の濃い山の湯と言った感じだ。私のような素人でも良い湯だなと感じられる。でも、それ以上にこんな場所の露天風呂に入れるだけで感激するような秘湯ムードたっぷりの場所に価値がある。温泉偽装で白骨温泉はテレビでもかなり取り上げられたが、ある意味そのおかげで各地の温泉も成分や掛け流しかどうかなど、正しい温泉表記を求められることになったのは皮肉だが意義があると思う。昨今の賞味期限偽装や産地偽装などの食品偽装もそうだが、いくら実害がなくても、やはり利用者にとってどんなことでもだまされるのは嫌なことだ。今回は初めて白骨温泉の湯を堪能した。あまり白濁していない透明なお湯でもそれでいい。自然な嘘偽り無い本物の白骨温泉に入れて幸せだ。白骨温泉には他にも名物のお風呂がたくさんある。どこに行ってもすばらしい経験ができると思う。