日本のフラッグシップとは・・・ 急激な世界不況の中で航空会社は

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1929年の世界大恐慌以来の急激な不況にある世界。日本もアメリカ発の不況の影響は甚大なものだ。今回、航空業界について少し思った事を言ってみる。

先日、ANA全日空の決算で社長が記者の質問でJALとの合併について問われ、かなりの不快感をもって否定していた。もちろん、社長としてそのような一種の屈辱は受け入れがたい気持ちはよく分かる。しかし、そうも言ってられないくらいの背に腹変えられるぬ状況が100年に一度の試練が今なのだ。よく考えると、いわゆる”フラッグシップ、直訳すると旗船。一国を代表する船。例えば、ヨーロッパではイギリスはブリティッシュエアウェイズ(BA)、フランスではエールフランス、ドイツではルフトハンザなど、確固たるフラッグシップが存在する。しかしながら、日本では、確かにJALこと日本航空がフラッグシップと言いたいところだが、ANA全日空も匹敵するくらいの規模であり、企業業績では優るとも劣らない一大企業だ。

21世紀に入り、残念ながら世界情勢は安定するどころか混迷の度を増す状況で、それはエコノミーの分野では原油価格に直結する。そうなると、もちろん昨今の燃油サーチャージに見られるよう航空業界の運賃にダイレクトに影響が及ぼす。旅客は過去には存在しなかったべらぼうな燃油の追加料金に敬遠し、必然的にできるだけ空での旅は控え、航空会社の業績に悪い影響を及ぼす。今はずいぶん原油価格が落ち着き、イスラエルパレスチナの状況もあるとは言え、世界不況の中ある程度の需要減退による原油価格の落ち着きはしばらく続くだろう。しかし、いずれまた中国やブラジルなど原油需要の高まり、それによる投機資金の流入による原油価格の高騰は容易に予想できる。いずれにしろ、航空業界は受難の時代が続くだろう。そうなれば、日本はJALANAのような巨大なフラッグシップ企業が2つも一国で存在するのはどう考えても難しいと思われる。

ただでさえ、日本の悪しき官僚主導による成田空港や関西国際空港の悪い立地条件によるハブ空港化の失敗、格安航空会社不毛の世界的に遅れた日本の航空業界はフラッグシップに成りえるような巨大企業が2つも存在する矛盾に混迷するのは必然だ。背に腹変えられぬ状況は目に見えている。

物流は一国の世界におけるエコノミーの重要なエレメントであり、確固たる空港や航空の確立は国益にとって最重要に求められるものだ。なので、JAL日本航空ANA全日空との合併、一つになることは何らおかしな事でもなく、この世界的な大不況下では重要な検討事項であると思う。優良な企業が一つ減るのは残念なことに違い無いが、この未曾有の時代にあって、マクロ的にこの国の将来を考えると、世界に通じるような確固たる日本のフラッグシップな航空会社を確立する良い機会ではないだろうか。