「Strathglen」ストラスグレン

Dsc_1944

スコッチのブレンデッドを切らしたので、仕入れに行ってきた。スコッチも相変わらず値上がりばかりで、スタンダードな銘柄でも野口英世さん1人でも買えなくなってきている。そんな中、1人でも買える中から選んだのがこのストラスグレン。スモーキーで芳醇という売り場の解説で決めた。確かにまよやかで、味はそれほどでも無いけどスモーキーな香りがなかなかこのお値段の割に充分だと思った。例えばバランタインのような複雑さはないけど、このまろやかさなら毎日飲むのは飽きがこなくて良いと思う。

B.B.キング

2a356881becff3234222523682d3af47751

偉大なブルースの父、BBキングが亡くなった。フレディ・キング、アルバート・キング、そしてBBキング。3大キングの名はよく覚えたもんだ。存命だった最後のキングで、そして最大ともいえるB.B。自分はその名や音楽は間接的に聴いてはいたけど、直接BBキングのブルースにどっぷり浸ったのはやはりクラプトンとの競作「Riding with the King」だったと思う。

彼を師と慕う、そしてまるで父としても慕うかのようなクラプトンの無邪気で楽しそうな演奏は今でも印象的だし、一方のキングも余裕の演奏ながら若く才能あふれるクラプトンという後輩から刺激を受けているような印象でもあった。

いつかくることではあるが、あまりに偉大なブルースマンがこの世を去った。

ポール リベンジ来日公演 Out There Japan Tour2015

Dsc_1832

この記事を書いている時、ちょうど武道館コンサートの真っ最中なのだ。友人がこの歴史的なコンサートに参戦しているので、LINEで実況中継してもらっている。テンションが上がる。

自分は21日の大阪公演に参加した。並ぶのは嫌いなので、前回は手に入れなかったパンフレットは、やはり今回欲しかったので、グッツ売り場で並んでゲットできた。パンフレットだけは専用ブースで売って欲しいと思うのは自分だけじゃないはずだ。Tシャツとかそういう類のグッツはあまり感心ないというか、あまりにぼったくり価格に興ざめするというのが正確なところ。

さて、肝心のコンサートの内容は、セットリストとかは各方面で情報が出ている通りで、1曲目が前回の「Eight Days Week」から「Magical Mystery Tour」に。同じ曲ならずっこけるところだ。しかし、その他は基本的に前回のコンサートとほぼ同じ内容。ゲームとタイアップした新曲があったけど、特筆するべきものはなかった。まぁ、ツアー名が2年前と変わってないのだから、基本セットリストもそれほど大きく変わらないのは仕方ない。

ポールのサービス精神(日本語とか、おちゃらけぶりとか)は前回と変わらず健在。ただ、厳密に言うと若干前回より声量が落ちたかなという印象、ほんとに僅かながらだけど。それでも、今回も2時間半ぶっ続けで水も飲まない驚異的なパワーはやはり凄い。今回もまたこれが最後じゃ無いかもと思ってしまった。

The Who 「Live at Leeds」

07_70_live_at_leeds300x300

今夜のFMcocoloマーキーミュージックモードでThe Whoの特集をやっていたので、すっかりテンションが上がり、家に帰ってからライブ・アット・リーズのデラックス・エディションをひっぱり出して聴いている。もう何年前になるだろうか。最初で最後だった夏フェス、ロック・オデッセイで初めて彼らを生で体験し、その後比較的早く単独来日公演を果たしてくれた。やっぱり、ライブでの爆音でギネス級の彼らの音圧はすごかったと、今でも忘れられない。

彼らはライブでのパフォーマンスがやはりすごい。こればかりはビートルズストーンズでも到底かなわない。そんな彼らのライブ盤で有名なのがやはりこのリーズ大学でのコンサートだろう。ライブ盤という区切りを省いても歴史的な名盤だ。タウンゼント、エントウィッスル、ムーンのエモーショナルな演奏がやはりすごい。特にキース・ムーンの破壊的なドラムは、なんというか、その強大すぎる才能によって、長生きできないなとつくづく感じさせられるものだ。

David Bowie 「Five Years」

David Bowie - Five Years Live on Old Grey Whistle Test 1972
YouTube: David Bowie - Five Years Live on Old Grey Whistle Test 1972

ロンドンの主要駅のひとつユーストン駅。リヴァプール行きのインターシティ(日本でいう新幹線)に乗るために駅構内のベンチで座っていたら、反対側のベンチで座っていた男がまるで日本でなら銭湯で気分が良くなったおっさんが演歌を歌うかのように、この曲を口ずさんでいた。歴史的名盤「Ziggy Stardust」の最初を飾る曲。

I heard telephones, opera house, favorite melodies
I saw boys, toys electric irons and T.V.'s
My brain hurt like a warehouse, it had no room to spare
I had to cram so many things to store everything in there
And all the fat-skinny people, and all the tall-short people
And all the nobody people, and all the somebody people
I never thought I'd need so many people.

空で歌えるほど覚えていたので、僕も反対側のベンチで、彼に合わせて口ずさんだ。日本での演歌は、彼の国ではロックなんだな。

Mrs Robinson

いつ聴いても心地良いメロディと詩。こんな完璧な曲はなかなか無い♪

And here's to you, Mrs. Robinson,
Jesus loves you more than you will know.
God bless you, please Mrs. Robinson.
Heaven holds a place for those who pray

Simon & Garfunkel - Mrs. Robinson (Audio)
YouTube: Simon & Garfunkel - Mrs. Robinson (Audio)

メルツェデスと赤ワイン

C7ab5b7f

かなり昔の話になるが、日本に滞在していたイギリスの若者と友達になった。自分はその頃毎年のようにイギリスに一人でフラフラ飲みに行ってたので、「今度行く時は俺の家に遊びに行っておいでよ」とその友達が言ってくれた。「ママが歓迎してくれるよ」と。

ロンドンから地下鉄で、一律の料金を超えたZoneだったと思う。けっこう遠い郊外だった。駅で待ち合わせしてたらその友人の母親がメルツェデスで迎えに来てくれた。190Eだったか、Cクラスだったか…、詳しくは忘れたが、まあ、そんなことはどうでもいい、小型のメルツェデスのセダン。今もMTが多いヨーロッパで、残念ながらATだったが、彼女はさっそうとそれを乗りこなしていた。「メルツェデスなんて素敵ですね」と助手席から称えると、彼女は「コーヒーの貿易をしているのよ」と運転しながら答えた。

メルツェデスは閑静なロンドン郊外の街中を巡り、よくあるショッピングモールの立体駐車場に入った。日本でいうイオンのようなもんだ。彼女はまず食事に誘ってくれた。ショッピングモール内にあるイタリアンレストラン。お互いパスタをオーダーした。そして自分は赤ワインも注文した。彼女に「飲まないんですか?」と尋ねると、「飲酒運転になるから」と。もっともな話だが、海外ならけっこうアバウトなところもあるから、大丈夫だと思っていたけど、ここイギリスでも飲酒運転に関しては厳しいらしい。自分だけ飲むというちょっと肩身が狭い思いをしながら会話を交わし、彼女を眺める。そう、とにかく彼女は美しい。言ってみれば、”友達の母ちゃん”なのだが、惚れてしまうほど若く美しい。黒人で、小柄で顔も小さく、とてもキュートなのだ。ミッション・インポッシブル3でトム・クルーズと共演したヒロインを彷彿とさせる。ボンドガールのようだ。察するに離婚しているようだが、赤ワイン越しに見る彼女は、女手一つでコーヒーの貿易で財を成し、息子を養い、メルツェデスをさっそうと乗り回すそのキュートさと強さのギャップに感心しきりだった。

ショッピングモールを後にして、自宅へ招いてくれた。丘と緑の芝生が広がる閑静な住宅街。立派なレンガ作りの家だ。ガレージには旧式の日産マーチがあった。ここイギリスではマイクラと呼ぶ。今は日本にいる友人の車だ。ははは(笑)、こんなかわいい中古車に乗っているのかと。(帰国してから友人にそのことを話したらマイクラは最高だよ、なめんなよ!と英語で言っていた)。

ダイニングキッチンでお土産に持って行った日本酒をプレゼントするとすごく喜んでくれた。日本に行ったことが無いし、もちろん日本語もできないけど、日本が大好きなのだ。「この辺りじゃ日本人は珍しいのよ。もっと早くから分かっていれば友達も呼んでくれば良かったわ」。広いリビングに招いてくれて、ソファに座ってコーヒー片手に正面のテレビをつければ、日韓共催のワールドカップの中継が。相手チームは忘れたが、ポルトガル戦だった。「私、フィーゴの大ファンなの」と彼女は目をキラキラさせながら言った。サッカーが好きというだけでなく、一女性として、フィーゴといういかにも屈強な男に惚れているようだった。

メルツェデスは”ベンツ”というお堅い響きを嫌ったダイムラー自身が女性の名前を冠したネーム。アジアの成金主義や日本のヤクザの乗る車はあくまで”ベンツ”だけど、高貴で美しい本来のダイムラー・ベンツはメルツェデスなのだ。欧米で”ベンツ”と言っても、通じない。そんなクルマは強く美しい女性と赤ワインが似合う…。

それからの記憶はない。でも、ロンドンに戻って、パブで飲んでいたら、一人の男が「どうしてこんなところにいるんだ?」と強い口調で聞いてきた。自国で4年に一度のサッカーの祭典が開かれているというのにイギリスにいるなんて。そりゃそうだ、サッカー発祥の地、イギリス人にとっては当然の疑問。メルツェデスと赤ワインから、ビールとフィッシュ&チップスという現実に戻って、苦笑いするしかなかった。