紀伊山地の湯巡り 湯の峰温泉 薬湯

Kusuriyu

十津川の温泉地温泉の湯上がりはしばらく汗が止まらないほどで、窓を開け、紀伊山地の涼やかなマイナスイオンを浴びながら168号線をさらに南下。十津川温泉、さらに右手に上湯温泉を過ぎ、いよいよ和歌山は熊野本宮にたどり着いた。

道後温泉有馬温泉、白浜温泉の日本三古湯と称されるが、それ以上の日本最古の温泉と言われるのがこの本宮温泉郷の湯の峰だ。数年前に世界遺産の”つぼ湯”を体験した。1日に7色変わるという神秘的な石風呂は今まで経験したことのない特別な経験だった。今回、公衆浴場の薬湯を利用することにした。加水加温無しの源泉掛け流しの湯はうっすら白濁した含硫黄炭酸水素塩泉。ほのかな硫黄臭に鉄臭が交じったなんとも独特なお湯は日本中数多くの温泉に入り続けてきた私にも初めてのものだ。つぼ湯は水で薄めないと入れないほどで、結果、湯の成分が薄くなるが、こちらの薬湯はうまく調整され加温加水無しで掛け流しされるため、湯の峰の温泉を一番堪能できるわけで、特別なのだ。大きく見事な湯ノ花が漂う日本最古と言われる湯の峰の湯は単純な硫黄泉でもなく、日本でもここでしか堪能できない独特なお湯である。本宮温泉郷は他には冬の名物”千人風呂”、西日本最大の露天風呂で有名な渡瀬温泉など、3つとも温泉ファンには必須の温泉地だ。特に湯の本質にこだわるなら、この湯の峰の公衆浴場”薬湯”は最も重要だと思う。