21世紀の日本の航空産業 MRJ

Mrj

トヨタ、ホンダ、日産…日本には世界でも例のない9つの大きな自動車会社を有する。今ではその多くは外資の元にあるとはいえ、どこもそれぞれ世界でも最高の独自技術を持ち、生き残っているのはすごいことだ。今のハイブリッド技術だけでなく、これほどクルマを安価でありながら極めて高性能に仕上げる日本の自動車はすごい。これはメルセデスBMWなどドイツでも足元にも及ばない。いくらドイツ車がブランドで人気があろうと、実質日本のクルマは世界最高なのは明らかだ。

また、それ以前に新幹線で世界をあっと言わせた日本の鉄道はこれもまた世界一だ。速くて静かで快適で、それでいてほとんど狂いのないダイヤ運行は世界から見て異常とも言える完璧さで、圧倒している。新幹線などの都市間長距離高速路線だけでなく、地方路線や地下鉄など、日本の鉄道サービスは世界でダントツだ。

こう考えると、日本の陸を走る乗り物やサービスはほんとうに世界に誇る産業だ。

でも、空を見るとどうだろう。日本の航空産業はクルマや鉄道を考えるとあまりに乏しい。これは、かつて戦後アメリカが敗戦国日本の再軍事化を警戒して飛行機設計や生産を禁止した政策からきているもので、そういう意味では日本の航空産業は不幸だった。優秀なエンジニアの技術を封印されてしまったのだ。結局国産旅客機はプロペラ機YS-11のみで、かつての零戦など世界でも秀でた日本の航空技術とそのエンジニアにとっては長年悔しい思いをしてきたに違いない。例えばかつては中島飛行機のスバルや三菱など、今はクルマを作っているが、本来は世界に誇る飛行機、ボーイングエアバスに対抗できる旅客機を作りたかったに違いないし、作れたはずだと思う。

しかしながら21世紀になって、やっと日本も航空産業に光が差してきた。三菱のMRJリージョナルジェット)なる小型ジェット機である。完成すれば国産初のジェット旅客機だ。小型ではあるが、これからは小型で燃費の良い旅客機が求められる時代。商機はあるに違いない。先日もアメリカの航空会社から大きな受注があったとニュースになった。めでたいことだ。

現に、すでに富士重工や三菱はボーイングなど旅客機の重要な部品のほとんどを生産、供給している。もはや日本のメーカー無くして王者ボーイングエアバスの飛行機は成り立たない。とっくに日本の航空技術は復活してそれなりにビジネスとしては成立しているのだ。

あとはそれが独自の旅客機開発など花開き、国内産業として世界で広く商売できるかだ。今回のMRJはその試金石となる。

21世紀の日本は環境技術産業だけでなく、航空産業が外貨を稼ぐ重要な国内産業となって欲しい。日本のすばらしい物作りの技術がやっと飛行機作りとなって実を結び、世界中の空を飛び回れば良いと思う。