エクストレイル 20GT

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信州へ移住して4年目。車を買い替えた。2年前から冬場に北信の雪山遊びに行き始めた。夏場の登山口や冬場のゲレンデまで行くだけなら2駆+スタッドレスタイヤで何ら問題ないのだが、飯山など国内有数の豪雪地帯でバックカントリーのスキーやスノーシュー遊びに行くようになったもんだから、やはり4駆が欲しくなった。もちろん4WDで無敵というわけじゃないけど、2駆よりはるかに強力だ。
そして4輪駆動と同じくらいの求める条件は「車中泊」。そうなるとこのT31型と呼ばれる2代目エクストレイル一択になった。現行の3代目エクストレイルも初期型なら中古で比較的安く売っているのだけど、この2代目は2列目のシートを倒すと段差も傾斜も全く無い完全なフラットな空間が生まれる。それも180cm近くの長さと十分で、SUVでは唯一無二なのだ(現行型は傾斜がある)。4WD性能ならスバルの車ももちろん候補になったが、フォレスター車中泊と言う意味では論外、先代レヴォーグや現行アウトバックは長さの十分な荷室と段差も傾斜も少なめで寝れそうだったが、やはり車高が低くなんだか棺桶みたいな気分になるのでパス。だからといって車高の高いステップワゴンなどのミニバンは4WD性能が心もとないので、寝れるSUVとなった。
そして個人的にこの2代目にはこの型にしかない強力なディーゼルエンジンがある。当時世界で初めて厳しい排出ガス規制をクリアし話題になったクリーンディーゼル、2000ccDOHCディーゼルターボ M9R型エンジン。ルノーのエンジンに日産が環境技術を注力してできたこのエンジンは当時リリースされた時は羨望の的だった。
買ったエクストレイルは後期型。初期型のディーゼルエンジンは6速のマニュアルミッションしかなく(強力なディーゼルのパワーに耐えられるATが当時の日産になかったらしい。それも話題になった)、後期型は6速ATも登場したのだが(もちろん売れたのは圧倒的にAT)、自分のは後期型なのに6速MT。ある意味珍しい(前のオーナーさんはよほどマニアックだったんだろう)。嫁さんは免許があるが、MTには乗ったことがないMTペーパードライバーで、ほんとうはATなら良かったんだが、中古で色も選んでいるとミッションまで選んでいられる余地がなかった。

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その色はスチールブルー。これもやや珍しい。この型のエクストレイルは出回っている色はなぜかほとんどブラック。次が白やシルバー、グレーなどのモノトーンが占めている。有彩色はイメージカラーだった鮮やかなレッドが少し見受けられるくらい。このブルーはおそらく下から2番めにレアだと思われる(一番少ないレアなカラーはたぶんヒマラヤンカーキという色)。
前回乗っていたステップワゴンがありきたりなホワイトだったので、とにかく次の車は有彩色にしたかったのだ。このブルーはグレーが入って、光の辺り具合ではグリーンも入っているようなダークなブルー。好き嫌いが分かれそうな暗いブルーだが、個人的には絶妙で飽きがこなさそうで気に入っている。

そしてデザインも初代に続いてボクシーで泥んこが似合うワイルドなデザインでとても良いと思う。現行の3代目エクストレイルは180度変わって、夜の都会で似合うような流線型でモダンなデザインになってしまって、個人的に泥がつくようなラフロードを走るには明らかに不似合いと思うのだが…(デザイン自体はぜんぜん悪くなく、この3代目もセールス的に今も良く売れている)。

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買ってからガラスコーディングを施しピカピカに仕上げた。後期型はテールランプなどがLED化されている。ヘッドランプは標準でHID仕様だった。今回買ってから新しいバルブに取り替え、ハロゲンのフォグランプもイエローのバルブに取り替えた。ディーラー純正のナビはついていたが、古くて地図も更新できないくらいで取り外そうと思ったくらい。でもオーディオ代わりには使えるし、(バックカメラが付いていなかった)バックカメラ対応で、自分でアマゾンでカメラだけ買って、取り付けた(技術的に特に難しくないが、内装を外して配線を隠したり電源を取り出すのが面倒で時間はかかる)。

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マニュアルミッションはさすがにスポーツカーのそれのようにショートストロークでカチカチと決まるわけではないが、意外とスコスコッと気持ちよく決まるフィールが良い。クラッチは今時にしてはやや重め。このディーゼルエンジンは当時の試乗レポートから言われているように、昔のディーゼルエンジンと違いよく回るガソリンエンジンみたいなフィールで、そこそこ回転を上げてからシフトアップしていかないといけない。低い回転数でシフトアップして、アクセルを踏み込むとトルク不足であっさりとエンストしてしまう。ターボは2000回転手前からモリモリとすざましいパワーが炸裂してくるが、1500回転以下はけっこうスカスカでトルクが乏しい。なので昔のRVやバンのディーゼルエンジンのようなずぼらな運転ができない。昔乗っていた初代インプレッサWRXみたいだ。回転を上げてターボが効き始めると爆発的なパワーが炸裂するが、とにかく下のトルクがスカスカ。

相方は初めてのマニュアルミッションで、そんなエクストレイルのエンストしやすいミッションにかなり手こずった。10万Km近く走行距離も走って、それなりにクラッチも摩耗して繋がるのも遠くなっているので、慣れない内はエンストの連続。慣れている自分も坂道発進は結構気を使う。

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これが当時世界一厳しいと言われたディーゼルの日本のポスト長期規制をクリアしたM9Rエンジン。今となってはマツダの最新ディーゼルエンジンにパワー面でも燃費の面でもかなり劣る。アイドリングもカラカラとディーゼルらしい音。でも回転を上げたら少し騒がしいガソリンエンジン程度(車体自体の遮音もある)。とにかく3.5Lガソリン並というトルクと、2.5L並のパワーが圧倒的。もちろんディーゼルの燃費の良さと軽油の安さはすばらしい。今のところ、街中走行、高速走行、山坂道走行といろいろ走ってリッター13Km程度とまずまず。以前のステップワゴンと比べて1度の給油で¥1000以上安くなる。

燃料代が安くなったとは言え、オイルの量が多かったり、クリーンディーゼル用の高価なオイル指定だったり、ディーゼルでバッテリーが大きくて高いなど、トータルの維持コストでは以前のステップワゴンと比べて決して安くならないが、やはりこのディーゼルの圧倒的パワーと今時希少なマニュアルミッションのダイレクト感は魅力的だ。ランクルジムニーのような本格的なラダーフレームのクロカンとは違うが、昨今の猫も杓子もSUVがあふれる中、この先代エクストレイルは当時「タフギア」と銘打って売り出しただけあって、そこそこラフロードも走れて雪道も強い4WD性能を備えた本格的なSUVで今でも十分通用すると思う。特に現行型エクストレイルにはディーゼルが無く、次期型エクストレイルはeパワーなど電動化が進むと見られており、昔からの車好きにはますます貴重なディーゼルエンジンを搭載したSUV(実際中古車でも安くなかった)。できるだけ直しながら長く愛用していけたらなと思っている。