エリック・クラプトン「12小節の人生」

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エリック・クラプトン 12小節の人生

ほぼ全国の映画館で大ヒットロングラン中のクイーン、フレディ・マーキュリーの伝記映画「ボヘミアン・ラプソディ」とは対象的に、都市圏の一部の映画館でひっそりと上映が始まったエリック・クラプトンの伝記映画「12小節の人生」を見てきた。

前者のはクイーンをあまり知らない人でも楽しめる、そっくりな俳優がクイーンを演じ、大ヒット曲のオンパレードで、太く短く生きたフレディ・マーキュリーを華々しく描く。

それに対し、後者のクラプトンはドキュメンタリー形式で、彼の深く長い苦悩をそのまま痛々しく重々しく伝える映画。個人的にクラプトンのアルバムはほぼ持っていて、音楽も彼の音楽人生は書籍などで追ってきたので、この映画の内容はほとんど既知の内容を映像として見ただけのことだったけど、やはり改めて彼のギター、歌詞が心に深く染みた。

はっきり言って、自身の過去の恥部、苦悩をこれほどさらけ出すのはかなり苦しく大変なことだったろうと思うけど、例えばドラックやアルコール中毒など、彼が私費を投じて更生施設を建設して運営しているだけあり、自身の過去を晒すことで、同じように苦しんでいる人達のためのものでもあり、彼が今こうやって妻や子供というかけがえのない家族に恵まれ、幸せな余生を送っている事実が彼をそうさせているのかもしれない。
若い頃の孤独、絶望、拒絶…、その原動力によってギターを弾き、彼を世界的なスターに押し上げたけど、映画のラストで幸せそうな、普通の爺になっているクラプトンを見ると、やはり一人の人間として、家族の愛に恵まれていることがいかに大切であるか、酒やドラックに侵されない当たり前の生活がいかに素晴らしいことか。反面教師というにはちょっと単純すぎるけど、この映画を通じて一人の人間の壮絶な人生を見させられ、考えさせられる。

彼の苦悩、愛、酒、ドラック…、皮肉にもそれらによって生み出されたクラプトンのかずかずの名曲、名演は形は違えどクイーンと同様に永遠だな。