THX1138

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【※ネタバレ有り】
ずっと以前から気になっていた作品。たまたま嫁さんの目当ての絶版本を探しに寄ったブックオフで見つけた「THX1138」の2枚組特別版。
スターウォーズより以前、ジョージ・ルーカスの処女作であるが、興行的に失敗に終わった作品で、一般に知られていない。
元々SF好きではあるが、何か見る前から独特なただならぬ雰囲気を感じていた。事前に期待が大きい作品は、何かと裏切られたりいまいちだったりすることがあるが・・・、「THX1138」は2010年末に遅まきながら出会ったすごい作品だった。私の生まれた1977年のスターウォーズよりさらに古いこの作品の描く世界観、映像、…あらゆるスケールに圧倒され、衝撃だった。

若きジョージ・ルーカスの溢れる才能を、天才のフランシス・フォード・コッポラ監督が導いた。私が最も好きな俳優の一人、ロバート・デュバル。「ゴッドファーザー」で演じたトム・ヘイゲン役がとても印象的で、大げさかもしれないが、存在感ある俳優だと圧倒された。THX1138でも過剰なほどの貫禄だった。髪を剃ったそばかすだらけの無名のヒロインにも、人間性を抑制された劇中で、感情溢れる演技にぞっこんになった。主役、脇役、それぞれキャラクターが抜群にすばらしかった。そして、最後の巨大な夕日をバックにしたシーン。これをどう感じるか、どう思うか…。日本映画(黒澤)の脈絡、後のルーカスの作品はもちろん、果てはスピルバーグまで、あまりに重要な作品だと思う。

スターウォーズマトリックスなど、世間一般に広く認められ知られ、興行的に大成功を収めた作品もあり、私もこよなく愛している。しかし、逆に興行的に失敗しながら、映画好きや一部のマニアに永遠に愛される名作ももちろんある。同じような作品「ブレード・ランナー」と並んで、これからずっと繰り返し見ることになると思う、「THX1138」