トロン

Tron

まもなく映画「トロン・レガシー」が公開されるが、この映画が2作目であることを知っている人は少ないだろう。1982年に公開された映画「トロン」は映画通や知る人ぞ知る名作で、その当時、まだわずか5歳くらいの私に強烈な印象を残した作品だった。先日、昔の映画「トロン」のDVDをアマゾンで購入して、ガキの頃以来のかなり久しぶりに見てみた。
世間ではまだまだ”コンピューター”などという言葉が新鮮、もちろん各家庭にパソコンなど無く、あったとしてもウィンドウズはもちろん無く、あのプログラム言語、アルファベットの文字だけがブラウン管ディスプレイに表示され、一部の人がたしなむ程度の時代だった。そんな時代に、ディズニーが今では当たり前になった”CG”を初めて導入した画期的な作品だった。幼い頃の私にはもちろんストーリーを詳しく理解できず、漠然と”コンピューターの中の世界”という位しか分からず(まぁ、それが一番肝だったりするのだが)、とにかくブルーやレッドに光るヘルメットやスーツをまとった人間が、円盤のような武器を投げて、相手を倒す。未来的なバイクにまたがりレースをするなど…、あまりに強烈で初めて見る映像が脳裏に焼き付いた。
それが今回30年近くぶりに公開される「トロン」。最初はリメーク作品だと思いとてもうれしく思ったがそうではないらしい、続編というか、ある意味新たなトロンというか、いずれにしろ、現代のCG技術にさらに3Dが加わるのだから、ファンにとってはたまらない。
ただ、気になるのはストーリー。当時はいくら画期的なCGとはいえ、貧弱な技術で今見ると(当時見ていても)中途半端な映像、やや腰砕けなストーリーが気になるが、単純に自分の作ったプログラム(ソフト)の権利を奪われた挙げ句、首にされ、それを執拗に取り返すべく(金儲けを狙う)奮闘する主人公や、純粋に自分のプログラムを試したいキャラクターなど、ある意味現実的で、変に(無理に)恋愛や感情的なモノが無くてすっきりしたストーリーだった。しかし、今度の新しい「トロン・レガシー」のCMなど予告を見ていると”親子”だったり、”恋人”?だったり、なんだかいろんな人間の感情が介在していそうで、個人的にこの「トロン」にはそれらは不要なんじゃないかと感じたりする。パソコンのプログラムのように、いともあっさりと消去されたりして、トロンではそれはそれだけでいいんじゃないだろうか。まぁ、それが正しいか間違いかは新しい映画を実際に見てみないと分からないが。とにかく新作「トロン・レガシー」は楽しみだ。