山陰 放射能温泉の旅

Misasa

GWの3、4日は鳥取県三朝温泉、関金温泉へ旅行してきた。三朝温泉は2度目、関金温泉は初めてだ。滋賀県を出発して、鯖街道から福井県に入り、国道29号線、まもなく終了する無料化社会実験を利用して舞鶴若狭道(小浜西~福知山)、国道9号線の片道約350km程のルート。国道9号線兵庫県鳥取県島根県にかけて、日本でも屈指の有名温泉地が沿線に点在する国道だ。鳥取に入ってからは日本海の荒波といくつも並んだ風力発電機の眺めがドライブにも最高で、もう何度も通っているお気に入りのルート。

まずは日本一の放射能泉、世界でも屈指の放射能温泉で有名な三朝温泉。前回は公衆浴場「株湯」を利用したが、今回は前回入らなかった川沿いの川原湯を利用した。(ちなみに株湯は最近リニューアルされてきれいになった。今回は嫁が新しい株湯を利用した)こちらは無料で、近くの橋からほとんど丸見えの豪快な温泉。混浴だけど、もちろんほとんど男性専用同然。小さな湯は2つに別れていて、ひとつはかなりぬるめ、もう一つはややゆるめのお湯で、じっくり入れる。熱い株湯とは対照的。皮膚から、そして湯気を鼻から放射能を吸い込む。何マイクロシーベルトを浴びたか分からないが、体にどのような作用があるのだろう。もちろん無くても、そう考えるだけでプラシーボ効果で良い影響は無きにしも非ずというもの。

三朝から一旦倉吉市内を観光して間を挟み、次は関金温泉に向かった。こちらも放射能温泉。三朝温泉に次ぐ放射能温泉で、ここも温泉ファンや湯治客に人気だ。ここには大きく立派な日帰り温泉施設があるが、やはり温泉好きには小さな町の公衆浴場を利用させていただくことに。温泉街の奥にひっそりある公衆浴場「関の湯」。番台さんに¥200を払い、4人も入ればいっぱいになる小さな木の湯船につかる。ややぬるめの放射能泉は無色透明。独特の匂いが感じられる硫黄泉でもなく、濁り湯でもない。放射能はもちろん見えないし匂いもないから、お湯自体はまさによくある”単純温泉”なのだけど、のどかな山陰の自然の中で、恵まれた放射能温泉に毎日つかれば、長年の温泉の効能がきっとあるだろう。

ホルミシス効果というのがあるらしい。もともと人間の体に有害な放射能が微量であれば逆に良い作用になるという。人間はいつでもどこでも宇宙から降ってくる放射能、地中の放射性物質から放たれる放射能を日々浴びて生きている。もちろんいずれも微量なものだそうだが、今回行った三朝や関金など、あの山陰の地域には”人形峠”というウラン鉱石が採掘された場所もあるほど、地中の放射能物質が多く、それが温泉に溶けてラドンラジウム泉として世界でも屈指の放射能温泉として名高い。これら微量の言わば自然の、天然放射能は体に良いらしい。

福島原発でまき散らされた放射能は○○シーベルトであれば問題ない、いや、危険だ…などなど、毎日いろいろ言われている。専門家によって意見が様々で、はっきり言ってまだまだよく分かっていない原子力放射能という分野(どうやら原発原子爆弾などによって生み出された人工的な放射能物質は良くない、小さな子供には良くないようだ)。

温泉として、ささやかな日々の湯浴みとして自然の放射能の恩恵を受けている人間。しかし、強大な原子力を人工的に利用して、莫大な電力を生み出し、人間の文明生活としての恩恵には容易にあずかれないようだ。神はそれを許さないのか、神の逆鱗に触れたのか。放射能が周辺の人間や動物に見えない恐怖で覆う。

今回の福島第一原発事故の前から三朝や関金の放射能温泉に行くことを思っていたが、今回その事故を考えると、一切見えない、匂わない、何も感じない放射能というものをずいぶん意識した。まだまだよく分かっていない温泉の放射能によるホルミシス効果、そして原発事故や爆弾によって外部に放出された放射能による人間への悪い影響。(その他飛行機のパイロットや宇宙飛行士が強く浴びる放射能の影響なども)どちらも早く広く、詳しく分かるようなればと思う。