「さらば冬のカモメ」 ジャック・ニコルソン

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このDVDジャケットは他になかったのだろうか。まるでゲイの映画かコメディのようだ。完全におかしなジャケットになっているのが残念だけど、俺が生まれるちょっと前の1973年、アメリカンニューシネマの名作の一つ。
盗みを働いて実刑をくらう若い水兵を、刑務所までジャック・ニコルソン演じるバタスキーと同僚が任務として送り届ける道中のほのぼのとしたロードムービーノーフォークからポーツマスまでの長い道中で、次第に友情が芽生えた3人がドタバタ劇を繰り広げるが、特にバタスキーが若い水兵に大人の楽しみ、人生とは何かと彼なりに世話していくのが見ていてほのぼのする。後に名作「カッコーの巣の上で」で同じジャック・ニコルソンがちょっとワルくてやんちゃな世話好きな兄貴を演じたのと同様、周りや若者にちょっと過激ながら人生の深みを教えてくれる。史上最多のアカデミー賞ノミネートを誇る、ハリウッド史上最高の俳優の1人ジャック・ニコルソン。この頃の若い彼もやたら貫禄があって、すごい自然な演技で、本当にすごいと思う。この映画でも、彼が相手にはにかみながらほほえむ独特な(ちょっと悪そうな)表情は見ていてなんだか癒されるのは、彼のすごさなのだろう。
最後は、あくまで刑務所に収監される任務が淡々と描写され、何とも言えない無情な感じはアメリカンニューシネマたるものだけど、夢の後の彼らを見ていると、それはそれで印象深い。
内容はもちろん「カッコーの巣の上で」にはかなわないけど、見ていてほのぼのする、それだけすごい演技ですばらしい映画なのは間違いない。