日本の空 成田・関空

Jal

民主党政権交代以来、連日国土交通省の前原大臣は大忙しだ。長年の自民党と官僚達の悪政のつけは大変だ。民主党も初めての政権で自身独自の政策などやりたいことは山ほどあるだろうに、しばらくは半世紀以上にわたる自民党政治の大掃除をしなければいけないのは気の毒だ。

ダムや航空行政に関する前原大臣の発言はいつもメディアのかたよった地元住民や地方自治体の激しい反対ばかりの報道でとりあげられているが、大臣の発言や方針はやっと”当たり前”でまっとうな政策を表明しているだけである。今までがあまりに異常だっただけで、そのギャップにまだマスコミがついていけてないだけなのだと思う。

長年の自民党の土建重視の無駄なダムや地方空港の作りまくりは全くの暴走機関車だった。結果、莫大な国の借金は先進国でも異常なほどで、たとえそれらのダムや空港が必要不可欠なものであっても、お金が無いのなら一時的にも休止するのは当然なことだ。まして、事実ほとんどが無駄なものなのだから、中止や白紙撤回は至極当然である。

八場ダムが計画から50年も経って、まして地元群馬から何人も首相が出ていながら、完成されていないのはおかしなことであり、自民党はいったい何をしてきたのか不思議なくらいで、地元が民主党を非難するより、自民党を非難するべきである。

また、先日前原大臣の「羽田空港ハブ化」発言はやっと当たり前の事を口にしただけであり、首都から近くて便利な羽田をハブにするのは小学生でも分かる当然のことだ。私も成田には行ったことがあるが、東京からあれほど時間がかかる空港はお話にならないレベルであり、4本目の滑走路ができ、拡張の容易な羽田が日本の最大の空港で国内、国際便のハブ空港であるのが本来の姿であるはずだった。

政治家のでたらめな判断、官僚のお粗末な行政で日本はアジアのハブ空港という重要拠点を韓国のインチョン(仁川)や他の国に奪われた。戦争で言えば制空権を奪われ、敗戦したも同然だ。

成田だけではない、関西はもっとでたらめな3空港建設。中途半端な伊丹空港、ほとんど和歌山空港とも言えるアクセス最悪の関空、そしてこの期に及んで作ってしまった神戸空港。こんな馬鹿げたことがまかり通ってしまった航空行政とそれを許した国民はいったいなんだったのだろうか。このツケは長らく続くことになるだろう。

今回の前原大臣、民主党政権の今までからの方針転換は特にすばらしいと言うことでなく、やっと誰が考えても当たり前のことをすることを表明したにすぎない。今までの自民党による行政があまりに異常過ぎて、長らく続いてきた。結果、何度も言うが不便極まりない空港とアジアにおける日本の航空地位の喪失、そして国民にのしかかる莫大な借金・・・。

成田空港の千葉県は今回の件で憤るのは地元民としては分かるが、冷静に日本全体の国益を考えれば、本来の羽田ハブ空港は今となっては遅すぎることだが、当たり前のことなのである。

私は少しだが世界の名だたる大空港、ハブ空港をいくつか利用してきて、日本は世界の経済大国でありながら空港がこれほど貧弱な国は珍しい。

民主党が船長を担ってから、やっと正常な舵を切り始めた。早く日本の空の事情が正常になることを願ってやまない。