久しぶりに日本酒 「春鹿」

Harushika

今年も量も種類もそれなりにたくさん酒を飲んだ。しかし、そのほとんどはビール~ウイスキーの流れで変わらなかった。そんな中、今年最も美味しく印象に残った酒が日本酒だった。奈良県の名酒「春鹿」。聞くところによるとかなり有名な酒で、恥ずかしながら飲むまで知らなかった。いや、正確に言うと飲んで美味しいと感動しなければその名声を知ることはなかった。

奈良好きのいとこから誕生日プレゼントとしていただいた「春鹿」。奈良県の日本酒なんて、なんだかピンとこなかったし、奈良で「春鹿」なんて名前と、ラベルの鹿のデザインを見てあまりにベタすぎるなぁと正直最初は期待していなかったのだが、一口飲んでびっくりした。とても美味しいのだ。もちろん、普段はビールやウイスキーばかり飲んでいても、時々日本酒は買って飲んでいるし、定期的に全国を巡っている温泉車中泊の旅では必ず地酒を試しているが、総じていわゆる”淡麗辛口”で私の舌には合わない。今ではすっかり日本酒のメジャーなすっきり系の味はどうも物足りないのだ。

そういう意味で、ここ数年日本酒の一線から離れていた感があったが、ぐっとそれに再び近づくかのような魅力ある味に出合ったのがこの「春鹿」。まずは華やかな果実のような香り、そしてなめらかではあるが、退屈で重いまったり感はなく、むしろスッキリとした切れ味もある。味の好みを分けそうな濃さもとてもバランスが良い中間に位置している。数年ぶりに飲んですぐに思わず「これはうまい!」と声に出してしまった。

最近はウイスキーばかり飲んでいて、アルコール度数は日本酒より2倍以上も高いが、蒸留酒(2回以上)ということもあり、むしろ日本酒の方が味も体に及ぼす負担も重く感じてきつつあったが、やはり美味しい日本酒は特別な酒だと改めて感じさせられた。もちろんこれは日本人だからというものあるだろう。大きく言えば最近のいわゆる”地産地消”なのか。いずれにしろ、ウイスキーやビールなどで麦(モルト)かぶれになっていて、また蒸留酒ばかり飲んでいたおかげで、逆に日本酒のおいしさを「春鹿」で教えてもらったようだ。