スバル 軽自動車から撤退

Quoxrp4e スバルがトヨタの傘下になるなど夢にも思わなかった。スバルが経営不振で日産のように破産してつぶれるようなことは(ルノーの支援で破産を免れたとはいえ、私は日産は実質一度は潰れた会社だと思っている)予想できても、まさかトヨタの傘下になり、軽自動車から撤退するなんて、誰が想像しただろうか。
水と油、最もありえない正反対な技術のスバルと商売のトヨタが一緒のグループになり、スバル360という軽自動車で華々しく自動車メーカーとして始まったスバルがその軽自動車作りをやめてしまうなんて、あまりに恐ろしすぎる事態だ。
もちろん、この先自動車メーカーの淘汰の時代にあって、会社の存続を考えれば、ビジネスとして考えればトヨタと組んで軽自動車から撤退するのは最良の選択と言えるだろう。背に腹は変えられないと言うものだ。
個人的にも、父親レガシィ、母親がサンバークラシック、妹がR1に乗っているというスバル一家。祖父が中島飛行機に勤めていた頃からのいわゆるスバリスト。私がこの世に生を受けた時も家にはR2があった。また、自営業をしているので、常に歴代のサンバーに乗り、親父の青春時代はレオーネ、若き頃の母親は今では懐かしい名のレックスに、そして私はかつてインプレッサWRXを乗り回していたのだ。
とにかく、スバルの歴史は軽自動車の歴史と言っても過言では無いと思う。その軽自動車から撤退するのは大変大きなことだ。軽自動車から六連星が無くなるのはあまりに悲しい。660ccの小排気量にもかかわらずモーターのようにスムーズで静かな4気筒エンジン。軽自動車唯一の贅沢な4輪独立吊懸。スバルの軽自動車はまさに技術第一のスバルを体現した車なのだ。
これからは同じトヨタグループのダイハツから軽自動車の供給を受けるという。ほとんどのスバリストからしたらそんなのは必要ないと思うだろう。また、普通車にしても、トヨタからの小型車やOEM車は不要だ。むしろ、嫌だ。
たしかに、スバルは水平対向エンジンや4WDシステムなど、その独自の技術をもって例えばドイツのアウディBMWなどのような日本版プレミアムメーカーを目指すべきだと思う。今はスバルの車は相変わらず性能の割には激安だと言えるくらいの車だけど、高性能で高価だけれど、車好きが無理してでもスバルブランドを求めるような、そんなプレミアムな自動車メーカーが理想だし、スバルが一番そんなブランドにふさわしいし、資格があると思う。
軽自動車から撤退となると、スバルの車は全車3ナンバーの車のみになる。このご時世しかたないと言えばそうだが、スバル、「昴」清少納言枕草子に出てくるきわめて日本的な、和風な言葉から来ている。私個人的な理想を言えば、本来の日本の道路事情に適した5ナンバーでとことん高性能を極めた高級車やスポーツカーを求めたい。
日本の車は今では性能も価値もダントツに世界一だ。それはメルセデスBMWでも足下にも及ばない。日本車はまぎれもなく世界一だ。しかし、これはあくまでヨーロッパやアメリカなど、自動車の先輩達から真似しながら懸命に努力して学んだ結果である。どれだけトヨタがレクサスや日産が高性能な車を開発しても、少なくともデザイン面でそれはヨーロッパ車の真似や影響が丸見えで、歴史あるヨーロッパの連中からはブランドとして認められない。
だがしかし、ヨーロッパでもポルシェしかない水平対向エンジンを持ち、ヨーロッパの列強ブランドでもかなわない4WD技術を持つスバルというメーカーならヨーロッパやアメリカも尊敬を持つようなブランドに成り得ると思う。
スバル最大の弱点のデザインさえ何とかなれば、商売下手なスバルも、今やトヨタをバックに日本初のジャパニーズカープレミアムブランドの確立が成せる可能性があると常々感じている。軽自動車からの撤退はあまりに大きい。このあまりに大きい損失をぜひともスバルは将来の栄光に結びつけて欲しいと願う。