第1回スパトレイル

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趣味は温泉巡りという鏑木毅さんと、スカイランナー松本大さんの師弟コンビが地元の群馬県は日本一の温泉地帯を舞台にプロデュースした第1回スパトレイル。通好みで万病に効くという四万温泉から言わずと知れた日本一の温泉街草津温泉まで80kmという壮大なトレイルランニングの旅。

このイベントが初開催されると発表された当初、温泉好きなら鏑木さんには負けんぞ!と気合いのエントリー即決(笑)。大会当日が待ち遠しかった。

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まだ夜が明けきらぬ深夜4時くらいにはランナーが続々とスタート会場に集合。最初の10km地点までは山ビルがいるとのことで、高濃度食塩水スプレー配布。ただ、この日は天気が良く、走っていればまずヒルに血を吸われることはない。

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Genroku

早朝5時スタート。温泉街を駆け抜ける。正面は四万温泉を代表する高級旅館たむら。手前左側には宮崎駿監督「千と千尋の神隠し」の舞台になったといわれるレトロな旅館「積善館」。建物と元禄の湯は国の登録有形文化財に指定されている四万温泉のシンボル的存在。以前一度宿泊したことがあって、懐かしく思いながら通過。

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温泉街を駆け抜けるとほどなく豊かな緑で木漏れ日あふれる広葉樹の林道登り。10kmかけて600mほど登る緩やかな坂道。

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今回のスパトレイルで感心したのが1kmごとの距離表示。「この非日常を楽しんで」 それぞれに鏑木さんか松本大さんどちらかのメッセージ入り。これは鏑木さんかな。

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前評判で走れるトレイルということもあって、素足とサンダルで走る強者ランナーさん。実際にロードシューズでも充分走れるコース。でもさすがにサンダルは真似できないなぁ。

今回は前週の八ヶ岳スリーピークスを走ってそれなりに疲労を残した関東の強者ランナー達が集結。女性ランナーもベテランさんや見るからに速そうな方ばかり。

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エイドは全部で5箇所。最初の第一エイド。マイカップ持参必携で、実際に紙コップは一切無し。共通アイテムはお茶、烏龍茶、アクエリアス、コーラ、水、バナナとオレンジ。さらにここは地元のパン屋さん謹製のあんパンをいただける。

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第1エイドを過ぎてからは下り基調の林道。

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緑が美しく優しい木漏れ日のトンネル。

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所々崩落場所有り。事前に「Slow Down」の案内看板が。

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振り返れば信州とは少し趣が違った群馬の山々。遠くに浅間山が。毎度草津万座温泉に訪れるたびに噴煙あげる活火山の様子を見るのが楽しみだけど、最近はずいぶん活動が穏やかになっているようで噴煙は見られず。ちなみに大会の前週に草津白根山の噴火警戒レベルが2に引き上げられたばかりで、ちょっと心配だった。

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デタッ!「世の中にこんな楽しいことないよ!本当に!」 よく見るセリフw あなたのおかげでこんなになっちゃいました…。

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第2エイドの中之条町ふるさと活性化センター到着。地元の名物かりんとう。パワーバーはエイドで初めてお目にかかる。食べたこと無いので食してみた…、なんだこりゃ?自分には合わなかった、ごめんなさい。

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第2エイドからは本格的な登りに。でも、心拍数がマックスになるようなきつい傾斜では無い。

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刈り取られた笹の茎が剣山のようになりランナーを苦しめる。体のバランスを崩し悪戦苦闘。足に刺さりそう。こけたらえらいことに。サンダルのランナーは一体どのようにここをクリアしたのか理解できない。

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野反湖直前に鏑木さんのお出迎え。「悪路でごめんね」相変わらずのやさしいお言葉。

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登り切ったそこには鏑木さんと松本大さんがランナー達に一番届けたかった今大会のハイライト、野反湖がひろがる。エメラルドブルーにうっとりするほど美しい湖の周遊コース。

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湖のブルー、新緑のグリーン、梅雨時期なのに晴天に恵まれたスカイブルー。このコントラストのすばらしいこと。そして柔らかいウッドチップがひかれたハイキングコース。癒やしの一時。

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野反湖1周の中間地点がスパトレイル中間地点42kmとなる第3エイド。地元名物の舞茸うどんでエネルギー補給。さらにここで伝家の宝刀リアルゴールドを投入! 残念なことにカフェインが苦手でコーラを飲めないので、最近はザックに必ず一缶携行している。

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心地良い緑のトレイル。野反湖1周を終えると登りのピーク。「この先Sky Running!!」のメッセージが。これは確実スカイランナー松本大ちゃんやね。

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スカイランニング!

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テクニカルなガレ場や階段は一切無し。気をつける急な下りもほとんど無いけど、所々避けようのない沼地があり、ひどい時は足首まで沼にはまることが。志賀高原マウンテントレイルを思い出した。けっして水はけが悪いトレイルではなさそうだけど、梅雨時期なので仕方ない。

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沢や山手からトレイルを横切る清流箇所が多数。きれいで冷たい山の恵み。手ですくって汗で塩まみれになった顔を洗い流す。すっきりさっぱり。

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第4エイドの根広ねどふみの里。ここは舞茸汁のふるまいが。素朴な味わい。ほっとする一時。

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第4エイドからはゆるやかな登り基調のトレイル。ここは鏑木さんが”北米のよう”と称したトレイル。行ったことないのでさっぱり分からん(^^ゞ

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今大会はトレイル率90%。ということは10km近くはロードが占めているということ。トレイルランナーにとってはロードはけっして歓迎できるものではないけど、疲れている時は距離が稼げるロードはありがたかったりする。

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がんばれ、最後の第5エイドへいざ行かん!

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最終エイドのチャツボミゴケ公園。おソバが美味しい。どんな暑い日のレースでも、温かい汁物は冷たいドリンクを摂取して弱りがちな胃腸のケアに欠かせない。

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ハイカーさんもいる貴重なチャツボミゴケ群生の公園内を登っていく。側を流れる川から硫黄臭が。いよいよ草津温泉が近づいてきたのを実感。

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貴重な植物が群生する大平湿原地帯は追い越し禁止区間

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「ここまで来てくれてありがとう。あなたを本当に誇りに思う」きっと鏑木さんのメッセージ。いえいえ、こちらこそありがとうございます。 それぞれメッセージは両氏が言うには鏑木さんが”演歌調”、松本大さんは”ポップ調”ということらしいが、よく分からん…(苦笑)

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800mにわたる走行禁止、歩行区間。疲れているから逆にホッとする。

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最後にまさかの罠が。前日のコース説明でも聞いてなかった渡渉ポイント。流れが急で危険と見えて、係員が2人配置。「ここに足を着けてください」、「え?ここって完全に川の中やん?」。仕方なくドボン。足首まで浸かればさすがのGore-Texのシューズもアウト。渡渉はレースによくあるけど、絶対に濡れる沢渡りは初めて。沼地で汚れたシューズの洗濯、アイシングには良かったけどね。序盤だったらやる気をそがれる所だった。

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志賀高原マウンテントレイルを思い出す木階段や木道も数カ所登場。こういうのって好きだわ。

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残り4kmほどは緩やかな下りのフカフカトレイル。足が残っている人には最後の大逆転ごぼう抜きポイント。下り好きにはたまらないコース。ドMハード志向な鏑木さんと激登りスカイランナー松本大さんのプロデュースなので、当初どんなえげつないコースになるのかと心配だったけど、終始走れるコースだった。ストックは全面禁止だったけど、そもそもストック不要だった。

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今回はトレイルを走り終えた後は1kmほどのロードでまもなく草津国際スキー場のゴール会場が見えてくる。

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いよいよ長かった旅も終了。松本大さんに出迎えられハイタッチでゴール。そしてインタビューも受けた。

タイムは12時間30分(制限時間15時間 男子約650人中168位)。今回は前月の野辺山で受けた筋肉のダメージでコンディションを落とし、白山ジオトレイルのトレーニングで筋肉疲労を残し、さらに昨晩寝る前にビールと日本酒でしっかりアルコールローディングしたのが裏目に出たのか、20km地点位から違和感、中間の40kmほどで既に体がダルダルで、リタイアしたいと思ったほど。60km付近から少し回復しつつも、いつものようにエンジンがかからなく不発。75km地点からさらに復活したけど、時既に遅し。体調万全なら11時間台で、100位を切りたいところ。不甲斐ない結果に。でも状態悪い中あきらめず完走できたのは収穫。

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鏑木さん曰く「80kmで制限15時間は厳しい」。急な起伏が少ないとは言え、STYと同じ獲得標高4000m台で、終始走らされるとあって、それなりに登りのスタミナとロードレースのようなスピードが必要、そして時間配分できる経験。目安として白馬国際(50km)を完走したランナーさんなら次のステップにぜひチャレンジして欲しいコース。また、スピード自慢のランナーさんには絶対走っていただきたいコース。

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今回残念だったのは関西のランナーさんがすごく少なかったこと。群馬といっても、長野寄りで、少し足を延ばせば行ける草津温泉。例えば野沢温泉志賀高原、戸隠などとそれほど距離は変わらない。来年はぜひ関西のランナーさんが多く出場して、関東のランナーさん達に負けない走りをして欲しい。

鏑木&松本両氏の熱い思いと、地元のホスピタリティーあふれる第1回目のスパトレイルは大成功の内に終了。ボランティアや関係者の皆さま、すばらしいおもてなしありがとうございました。