ポールのニューアルバム Memory almost full

_pnnmz77 ポールの新作の評判が良い。けっこう一般受けしているみたいだ。今回は前評判と言うか、過去最近の作品と比べて事前の話題が大きかった。それはEMIを離れて新しいレーベルに移籍したのが大ニュースとなり、またその移籍先があのアメリカ・シアトルの世界のコーヒーショップチェーン「スターバックス」が立ち上げたヒアミュージックという全く新しい試験的なレーベルだったからだ。それもどこの都市でもなじみある街のカフェでポールのアルバムが売られ、また店内BGMとして流れるというのだから、かなりの話題となった。また、彼の過去の作品がiTunesでついにダウンロード販売されるというのもちょっとした事件だった。
アルバム自体の評判もけっこういい。前回の「chaos and 〜」がややダークな印象があっただけに(私的には大好きな作品だ。「Mccartney」を思いおこさせる名盤だと思う)、今回はややのびのびした楽曲が誰にも聴きやすく一般受けするのだろう。前作は名曲が何曲があったけど、客観的に見てアルバム全体としてはいまいちだったと思う。それに比べ今回はまとまりがあって聴きやすい。個人的には2曲目、あと8曲目なんかが面白い。とにかく、最近はどれもこれも採用されるシングル曲がろくなものがないような気がする。他にもっとシングル曲にふさわしい曲があると思うのは僕だけだろうか。あと、複雑なのは今回のアルバムの曲が実は前作「Chaos〜」より以前に作られたものだということだ。僕が気になるのは現在のポール。ヘザーと離婚して、深い悲しみの反動から生み出された曲が聴きたい。実際にその頃に書き貯められた曲が既にかなり存在するそうだ。次回作は早いかもしれない。悲しみを音楽で紛らわす、作曲のパワーに変える・・・、幼い頃に母親を無くして以来、ビートルズでの活躍、ウイングス、ソロ・・・、何十年経っても変わらない彼と音楽との関係性は今また新たな絶頂期を迎えているかもしれない。それを期待するのはきっと次回作が本命だと僕は考えている。いずれにしろ、今回の「Memory Almost Full」はなかなか良かった。次回作が出るまで彼の過去の作品も合わせてじっくり聴きこんで待ちたい。そしてやはり何よりも彼の来日公演を期待、いや懇願するのは僕だけでないのは言うまでもない。