メル・テイラー Mel Taylor and The Dynamics

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ボブ・ボーグル死去のニュースを聞いて以来、かなり久しぶりにベンチャーズを聴き直している。一人で車を運転している時は、難聴必至というくらいの音量で夏だエレキだベンチャーズ!と言わんばかり気合いを入れて聴いている(^_^;

日本に襲来した”音楽の黒船”ベンチャーズ。どんなバンドより、ベンチャーズほど日本の音楽シーンに与えた影響はなく、計り知れない。もちろん、それは初めてのエレキギターという衝撃なのだが、私にはベンチャーズのムードメイカー、太鼓の王様ことメル・テイラーのドラミングが一番の魅力だ。もう亡くなってずいぶん経つ。私はドラムは素人だが、私にとって最高のドラマーはメル・テイラーだ。ベンチャーズ初期のシンプルな3点セットでの激しいドラミング、晩年は迫力のツインバスドラに歯切れの良いドラミングに時折エレクトリックドラムを交え、最高のライブパフォーマンスを魅せてくれた。特にベンチャーズのスタジオ音源、ライブ音源から彼のドラムをフューチャーした企画盤「メル・テイラー メモリアルアルバム」は最高の選曲でまさに金庫に入れて永久保存したいほどの宝物だが、それと同じくらい貴重ですばらしいアルバムが一時ベンチャーズを離れて彼名義で活動したバンド「メル・テイラー&ザ・ダイナミックス」のジャパンライブ73だ。メンバーはギターにジェリー・マギーや、今ではボブ・ボーグルの後を継ぐボブ・スポルディングなど、また音楽自体も当時のヒットソングをカバーしてほとんどベンチャーズと変わらないのだが、脂の乗り始めたミュージシャンとしてはもっとも最良期の演奏を堪能することができる。オープニングからいきなりエンジン全開「Born to be Wild」の激しいロックから始まり、ベンチャーズよりハードで勢いが感じられる。メル・テイラーの叩きまくりのドラムはもちろん、職人の中の職人ギタリスト、ジェリー・マギーのギターもハードに弾きまくっている。今でもアコースティックセットで渋く聴かせる技巧派の彼好みの曲「Classical Gas」も激しいエレキで聴くことができる。ドアーズの定番曲「Light my fire」の演奏はまさに圧巻だ。

よく、今も昔も老若男女に人気のベンチャーズとは言うが、どんな年代にも分かりやすくて音楽的に魅了する楽器は単純にギターよりドラムの迫力だと思う。私も小学生の時、初めて音楽に魅了されたのは生のロックのド迫力のドラムだった。大人になってからはこのギターの音色がどうのこうの、フレーズが云々…など、ある意味くだらないことに終始しているが、幼い頃学校の体育館で体験したベテランロックバンドの演奏、単純に初めて体験したドラムの迫力ある音圧に圧倒されたのだ。それは、今も変わらない。いつ何時もドラムの迫力は歳をとった今でも分かりやすい魅力なのだ。

そんなドラムの魅力を最大限に教えてくれたのがベンチャーズのメル・テイラーだった。田舎のホールにも来てくれたベンチャーズのコンサートで、見るからに要塞のような圧巻のツインバスドラのドラムセットに、歯切れの良いダイナミックな彼のドラミングはバンドを支えるリズムパート以上の存在感を魅せてくれた。かすれ声に毛むくじゃらのワイルドな風貌のメルは、見た目通りワイルドでダイナミックなドラマーであり、ベンチャーズ最高のエンターテイナーだった。「ニホンノミナサン、スバラシイーデス!」と言う決まり文句が懐かしいが、メル・テイラー、あなたも最高だった。今や息子のリオンも歯切れの良い彼ゆずりの立派なベンチャーズドラマーとして活躍しているのがとてもうれしい。天国の親父メルはきっと喜んでいるだろう。

個人的にメル・テイラーのベストアクトは「メル・テイラー メモリアルアルバム」に収められた晩年のライブアクト「ハワイ・ファイブオー」だ。ジェリー・マギーの奏でるギターメロディとドン・ウィルソンのおなじみの鋭いリズムカッティング、そしてメルの最高に歯切れの良い刻みと時折入れるダイナミックなエレクトリックドラムにいつ聴いても最高に酔いしれる。ドラムに関しては私は素人だが、そんな私が感じる最高で理想的なドラムがハワイ・ファイブオーだ。今日もアンプがやばいくらいに発熱して高温に達しているが、この夏は改めて偉大な太鼓の王様メル・テイラーを偲びつつ、難聴覚悟で大音量のベンチャーズを堪能したい。

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