ポール・マッカートニー 「Kisses on the Bottom」

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ポール久々の新作はカバー集(内2曲の新曲)。ポールが幼い頃から慣れ親しんだアメリカの名曲のカバーと言うから、最初はロッド・スチュワートがヒットさせたアメリカのスタンダードナンバーのカバー集のようかと思ったが、ロッドのそれとは単純には違うようだ。

いずれにしろ、予備知識無しでポールの新作だと聴いたら面食らうだろう。かなりのジャジーなナンバーで、”仕事のあと、家でワイングラスやティーカップを手にしながら聴くアルバムだよ”とポール自身が紹介するように、まさに大人のカバー集のようだ。

で、僕も実際に仕事の後、アマゾンから届いたアルバムの封を開け、じっくり聴き入っている。残念ながら今夜は休肝日なので、片手にはワイングラスは無いが、じっくり耳を傾ければ、このアルバムにも参加しているエリック・クラプトンの最新作「Clapton」とよく似たアルバムだと感じた。

以前ポールにはロックのカバー集「Run Devil Run」があり、今も個人的にお気に入りのアルバムだけど、今回はちょっと渋い選曲のジャジーなカバー集と聴いて、アルバムを買うか迷ったが、評判がけっこう良かったので、手に入れた。

港町リバプールで、アメリカから海を渡ってくるノリの良いロックばかりではなく、これらソフトでスタンダードな名曲も彼らの生活の一部としてとても親密感があるようだ。そしてそれらは後のミュージシャン、ポールの血となり骨となっているわけで。思えば、ビートルズ初期も彼は「Till there was you」などでこのような曲をカバーしていた。スティービー・ワンダーやクラプトンも数曲参加しているが、演奏はその手の達人ばかりだそうだ。ポールはボーカルに徹して、近年さすがに年齢による衰えが感じられなくもない声も、今回はしっとり丁寧に唄っていて、ボーカリストポールの魅力が感じられる作品。

さて、今年はこのカバー集のあと、通常のオリジナルアルバムもあるとの噂も聞いている。それはきっといつものポールらしいロックアルバムだろう。また、久しぶりの来日公演も交渉中との噂も。とても楽しみだ。