デ・ニーロとパチーノの共演 「Border」

Border

【※発売前の映画ソフトにつき、ネタバレ等ご注意ください】

1~2年前に一部で「Righteous Kill」という映画の話題を耳にした。あのロバート・デ・ニーロアル・パチーノの共演作品。デ・ニーロとパチーノの共演となると、有名なのはゴッドファーザーPartⅡ、そしてヒート。しかし、前者は若い頃の父親を演じたデ・ニーロと、その息子の現在を演じたパチーノで、二人が交わることは一切無かった。後者の映画では最後のクライマックスシーンでわずかに交わっただけ(それがあの映画の良さではあるが)。今回、この映画ではばっちり二人が共演しているという。ハリウッド映画史上、最も偉大な俳優二人が共演するのは一つの大きな事件であるのに、この映画、ほとんど話題にならなかった。国内でまったくこの映画の上映やDVD化などほとんど皆無だった。

これはいったいどういうことか。

そして、今になって、邦題が「Border]ボーダーとなって来月リリースされるようだ。もちろん、デ・ニーロとパチーノが向かい合ったジャケットは当然で、普通に考えたらすごく期待をもたせる共演なのに…。答えは簡単、どうやら駄作のようだ。各方面でいろいろ調べてレビューをチェックしていると、監督の映画作りも、大ベテランの二人の演技も精彩を欠き、かなりイマイチのようだ。この二人の共演作がアメリカで封切りされて、国内でこれほど話題性が無く、遅れて控えめにDVD化されるというのは、よほどのようだ。

役作りのカリスマであるデ・ニーロ、鬼神迫る演技のパチーノ、この二人は今回の映画ではかなりの衰えぶりのようだ。

しかし現地アメリカでの題名は直訳すると”道理ある殺し”、邦題では”境”。ストーリー的に意味ありげでちょっと気になるし、これほどあらかじめ期待無しにに見れるとなると、逆にいろんな意味で期待できる面もある。

ゴッドファーザーPartⅡで若きデ・ニーロが前作でマーロン・ブランド扮するビトー・コルレオーネの青年時代を見事なカリスマ性で演じ、パチーノが苦悩するマイケル・コルレオーネを迫真の演技でファミリーの行く末を描いた。

ヒートではギャングのボス、デ・ニーロと刑事役のパチーノが対面せずとも緊張感ある交わりを演じ、最後に二人が出会い、衝撃の結末を迎える。

ハリウッドを代表する二人の俳優の数少ない映画での共演は映画好きには有名だが、今回の邦題「ボーダー」で終始共演した内容はどれほどのものだったか、マイナスな先入観の中、自分の目で確かめて見たい。