エリック・クラプトン ジャパンツアー2009 大阪城ホール2日目

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僕自身エリック・クラプトンの日本公演は初めてとなる。これほど来日公演をはたしている大物ミュージシャンながら、なぜか一度も行ったことがなかった。初めてのクラプトンはロンドン、ハイドパークでのエリザベス女王在位50周年記念のクイーンズコンサート。しかし、今回は単独公演でじっくり神様のスローハンドを堪能することができて最高の時間をすごすことができた。

今回の来日公演はプログラムで彼自身が予告していた通り、ややブルーズが多い選曲だった。初めて見るミントグリーンのストラトキャスターに黒系のラフなスタイルで登場。終始リラックスしながら、しかしどの曲も激しいギターソロを存分に披露してくれた。途中アコースティックギターで円熟のブルーズを聴かせてくれる。アンコールはクロスロードたった一曲。そのアンコールまでは長く精力的に演奏していた彼の体力にはびっくりした。あの歳なら、オリジナル曲よりキーを落として歌うことがよくあるが、例えばレイラなどもほぼオリジナルのキーで歌っていたのはとてもうれしかった。親日家のクラプトン、曲が終わるごとに愛想良く"doumo Thank you!"と一言。さすがにクラプトンのサポートメンバーは一流の凄腕ミュージシャンばかりで、こちらも聴き応えがある。

これほど頻繁に来日公演しているにもかかわらず2日目の大阪城ホールはほぼ満員。さすがに女性も多い。ヒット曲満載の美しいメロディ、誰もがエキサイトするギターソロ、起承転結がはっきりしているクラプトンの作品は日本人にとってとても分かりやすく魅力的であるのが改めて思い知らされる。

かつて彼の若い頃はいつ死んでもおかしくないミュージシャンの筆頭だと言われていた。ライブを見ても危ういくらいの緊迫感。自身の人生は多くの友の死、家族の死、恋愛、それによるアルコールやドラッグ・・・、これほどの波乱の人生を送ったミュージシャンもいないだろう。しかしそれら波乱の生涯を歩んで今はリラックスした穏やかな表情と余裕と円熟のギタープレイ。僕にはまさに悟りを開いた境地に見える。ほんとうに奇跡だ。ブルーズに魅せられ、そしてブルーズというソースに還っていく。その彼のミュージシャンとしての、そして人間としての究極というのを見ることができ、そして聴くことができて本当に幸せだ。大げさかもしれないが、他の多くのロック好き、ギター好きと同様に僕自身の人生や音楽に大きな影響を与えてくれたクラプトンという奇跡に感謝したい。