第1回熊野古道トレイルランレース(ミドルコース30km)

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「過疎に苦しむ町を何とかしたい…」三重県熊野市の山間、紀和町の役場に勤める青年の切実な思いから始まったトレランレース。メールでプロトレイルランナー鏑木氏に協力を求めるも、既にUTMFをはじめ、あちこちでレースのプロデュースやゲストランナー、そして現役の選手として多忙を極めておられたため、最初は断ったとのこと。しかし、2度目のメールで町が深刻な過疎に苦しんでいると知り、全国のトレイルを走り回る鏑木さんは協力を決断。

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関西圏からも中京圏からもはるか遠い熊野市から、さらに山奥へ進むこと30分以上。公共交通の便が乏しく鏑木さん曰く「東京から最も遠い場所」。林業で杉の木が多いためか、このあたりの紅葉はいまいちでしたが、場所によってはこんなすばらしいお山の風景が。また、群馬など関東のようなごつごつした険しい山も見受けられます。

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前日は鏑木さんの先日出場されたレユニオン島レース報告会とコース説明。今大会のコースは鏑木さんプロデュースではなく(ゲストランナー)、地元の青年によるコース作成とのこと。高速コースの予想。既に鏑木さんは2日前に下見とタイムトライアルで2回、さらに前日午前中の試走と3回(90km)走ったそうです。本番で4回目(120km)。ほんとにすごい…。

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会場から少し徒歩で移動した狭く古びた板屋銀座商店街がスタート地点(ゴール地点)。いつも後方に陣取ってましたが、今回は珍しく前寄りでスタートしてみました。

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朝9時にミドルコース(30km)がスタート。最初の2kmほどはロード。高速レースの予想通り、みんな序盤からかなり飛ばします。僕も珍しくキロ4分後半くらいでついて行きます。入鹿八幡宮へ入り、最初のトレイルへ。

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少しトレイルに入るとすぐにロードへ。こんな感じでトレイルとロードを頻繁に繰り返す。そして石垣からトレイルに入るシーンが何度かありました。序盤なので入り口で一瞬渋滞します。

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ちょっと本格的なトレイルに入ったかと思うと、ほどなく田んぼのあぜ道のようなトレイルに。

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スタートしてわずか16分後、後方で「もう来た!」とざわめきが。そう、鏑木選手(黄色のシャツ)。シングルトラックだったので、しばらく僕のすぐ後ろを走っておられましたが、まったく無音で気配無し。まさに暗殺者、北斗神拳伝承者みたいですな(笑)

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気持ちよい林道のトレイルを走ります。やや登り基調。まだまだ序盤、快調に走ります。

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山間らしく朝はもやがかかっていた山も、次第に天気予報通りの快晴に。広い林の作業道は今回でもっとも多かったトレイルです。平地が少なく田畑もしれているようなので、やはりこの辺りの主要な産業は林業となるのでしょうか。

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丸山という地区に出るとロード。集落のおばあちゃんの声援と、柴犬も。「なにやってんだ?こいつらは~」という犬語が聞こえてきそうです(^_^;

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今回のハイライトのひとつ。有名な丸山千枚田。夏場ならもっと美しんだろうと思いますが、今日もなかなかの見所でした。

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今回個人的に一番良かったポイント。今年春に走ったマラニック、柳生の里のような、風情あります。何かの遺構のようですね。

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振り返ると熊野の山々と千枚田。うーん、すばらしい。

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再びトレイルに入ります。赤木城跡へ。同じ三重県では伊賀上野城で有名、加藤清正と並ぶ城作りの名人と名高い藤堂高虎の初期のお城があったとか。こんな場所にお城を作ったなんて、ほんとにすごい。

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手を振るおじいちゃん。ここでマラソン大会が開催されるのはきっと初めてで、地元の方には物珍しかったことでしょう。こんな狭い集落の中を駆け抜けるのも今大会のポイント。まさに生活道路。ランナーにとっても珍しいコースで楽しかったです。

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トレイル→集落(ロード)→トレイル→ロードの繰り返し。トレイルもロードも地元の方にとっては集落と集落を結ぶ生活道路。

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スタートから9km地点の赤木城跡公園。最初のエイドで、ショートコース9kmのゴール地点でもあります。今大会はエイドは2箇所。次は16km先。

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エイドはバナナ、みかん、チップスター、コーラ、水、塩などなどけっこう充実。地元の方が今日のためにと作ってくれた茶がゆ。ランナーは長時間走っていると何かと胃腸が弱りがち。なので冬も夏も関係無く、温かい飲み物はほんとうにありがたい。素朴な茶がゆは美味しく癒されました。奥の方には今大会スポンサーのウィダー・エナジーウォーターキープとエネイドゼリー。夏に走った白馬国際トレイル並みに充実したエイド。次は16km先までエイドが無いので、のんびりがっつり補給しまくり。おかげでこの後しばらく横腹痛に…(;´∀`)←バカ

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エイドからはいよいよ今回のコース最高峰のお山へ向けて登り基調。時折足を踏み外しそうなかなり狭いシングルトラックに注意が必要でした。

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気持ちの良い林道。緩やかな登りがしばらく続きます。赤いふかふか落ち葉に両脇がシダのトレイルも。前方の集団だけあり、基本みんな走ります。僕も歩くより走る方が楽。傾斜に合わせて時折徒歩も入れます。

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ここからこのコースの数少ない激坂が。と言っても距離的に短いです。今回は矢印の表示とニューバランスのテープがコース案内。鏑木さん曰く「レースによってコースロストによるクレームがありますが、今回のコースでロストするようではトレラン辞めた方がよい」と(笑)。確かに迷いようのない分かりやすいコースと案内でした。

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この辺りで三重のトレランブログでお世話になっている富所さんと合流。相変わらずの軽やかな走り。登りで追いついても下りでぶっちぎられます。センスの違いですな。

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今大会最高地点。これほど山深い地域なのに、最高地点が704mとは、これはそもそも熊野古道がかつての生活道路のゆえん。鏑木さんも言ってましたが、熊野古道は今で言う、国道や高速道路などの幹線道路。なので、高所や険しい場所に道を作ることはありません。高速レースとなる今大会のコースも生活道路だからこそ。今では世界遺産になって、なんだか神秘的な古道と知られてます。もちろんその側面もありますが、一方で地域の今も昔も変わらない大切なインフラ。今回初めて熊野古道に訪れて良い勉強になりました。

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最高峰を過ぎると落ち葉フカフカの下りが長く続きます。この距離のコースでこれほど長く気持ち良い下りは珍しい。ほとんどのランナーさんがここで一番楽しんだのでは。きっと「トレラン最高!」と心の中で叫んでいたランナーさんがたくさんいたはず。

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遠くに瀞峡が見えてきました。林道とロードの多さは昨年走った若狭路トレイルランによく似てます。山から見る瀞峡の景色は若狭路トレイル眼下から見た三方五湖とかぶります。

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急勾配注意!! といっても信州のトレイルなどに比べれば傾斜はそれほどたいしたことはありません。でも落ち葉が深く、土も軟らかいため、滑りやすいのは確かです。急坂でブレーキをかけてしまうあの感覚はトレランやっていて一番嫌なところです。

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長い下りが終わると、今度はフラットなシングルトラックが長く続きます。走りやすい比叡山あたりの京都トレイルみたい。ときどきガレている箇所もあり、油断はできません。下りが苦手な僕には、嫌な下りが終わった後のこのフラットなトレイルがとても気持ちよかったです。

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今大会のコースはロード比率も高いのも特徴でしたが、この箇所が一番長いロード区間。ロードも苦手な僕にはつまらないのですが、瀞峡沿いだったので、こんな絶景でテンション上がりました。前半柳生街道マラニックに似ていると書きましたが、ちょうどこの地点は伊賀上野へ向かう月ヶ瀬のロードにも似てました。月ヶ瀬のような激坂はありませんでしたが、何かとあのマラニックを思い起こさせてくれました。

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しばらくダイトレでおなじみの家村さんとご一緒させていただきました。トンネルを抜けるとある意味今大会一番の難所へ向かいます。

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堤防の階段を降りてなんと瀞峡沿いの河原へ。上流らしいごろごろした大きな丸い岩が疲れた足をいろいろな方向から責めます。ねんざの危険。走れず歩く人、転倒する人も。700mほどの距離ながら今回一番難儀したランナーさん多し。でも、右手の瀞峡を進む観光船が見えたり、今までに経験の無いトレラン風景に、これも一つの収穫。

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ラスト4km地点の2つめ(最後)のエイド。基本同じですが、茶がゆに代わってお味噌汁が。ありがたい。でも、あと残りわずかということもあり、エナジードリンクだけ飲んで足早に次へ向かいました。エイドのみなさん、ありがとうございました。

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エイドを発つとすぐに急な登りが。まるでアスレチックコースのような、コンクリート丸太の階段がランナーをいじめます。

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登り切って振り返ると走ってきたお山とあの苦労した河原が。でも、天気に恵まれすばらしい景色です。

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こういう下り階段はほんとに嫌です(苦笑)

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ひとつお山を越え下りきると横目にトロッコ電車の線路が。この辺りはかつて鉱山があり、閉山して残ったトロッコ電車はお客さんを山奥の温泉へ運ぶために今も働いているとのこと。レース後に入りに行く予定の湯ノ口温泉の名物。早くお風呂に入りたい…。

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最後の苦しい長い登り。さすがにここではストックが欲しいと思ったところ。聞くところによると、ここのトレイルはなんと通学道路だとか。過疎に悩む町。これでは若い人たちが出て行き、帰ってこないのも仕方ないです。でも、僕のようなトレイルランナーは、こんな場所で育つ子供はきっと将来すごいトレイルランナーになるんじゃないかと考えてしまいます。

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最後までロード→トレイルを短期間で繰り返します。最後のトレイルの下り。大昔整備された石階段のようですが、今ではただのガレ場のよう。石にはこけが生えてとても滑りやすく、ただでさえ下りが苦手な僕は大幅にペースダウン。

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あと1キロ。高速レースだけあって、あっという間にレースが終わります。なんだかまだもう少し続いて欲しいと思ったくらいです。

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最後のロード。誘導通り右に曲がればスタートした板屋商店街のゴール地点が。誘導員さんと地元の応援して下さった方に走りながらカメラを向けると「全然余裕やな!」と言われる。確かに余裕でしたが、これも温かい皆さんのご尽力と声援のおかげです。

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ゴール! スタートからずっとカメラを撮りながらのラン。最後まで撮影しました。のべ200枚以上(^^ゞ 撮影しながらのランはやはりどうしても呼吸のリズムが乱れてしまいがちでしたね。ウィダープロテインドリンクをいただき、開会式の会場へ完走証を取りに。お疲れ様でした。

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タイムは3時間24分。男子386人中66位。トップ選手で2時間15分だったとか。鏑木さんの予想よりも速いタイム。実際にみんな予想していたよりかなり高速なレース展開でした(距離は実測27kmほど)。ショートもミドルもなんと完走率100%とのこと。これは珍しい。

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地元の特産ブース。過疎に悩む町おこしのためのレースでもあった今大会。世界遺産を走らせていただき、なおかつ町おこしに少しでもお役に立てたなら本当にうれしいことです。コース誘導などボランティアの皆さんは地元住民総出といった感じで、第1回大会ながらとてもすばらしい運営に頭が下がります。本当にありがとうございました。そして、一からこのレースを作りあげた地元青年の熱い思いに心からの拍手を。これからもできたら続けていってもらいたいです。

今回のコースはミドルとショートの2つ。なぜロングではないかというと、どうやら次回は50kmのコースを見据えてのことらしいです。なるほど。熊野古道ロングトレイルレース、すでに今から楽しみです。

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レース後はトロッコ電車と湯治場で有名な湯ノ口温泉へ汗を流しに行きました。以前から行きたいと思っていた温泉。完全源泉掛け流しのとても柔らかいお湯。お山の出で湯らしくやや濁りほんのり硫黄の香りが。三重県ですが、和歌山の本宮温泉郷に近いので、筋が同じですね。温泉ファンにはたまりません。

お天気に恵まれ、初めての熊野古道。最高の週末でした。

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