「スバル・サンバー」 スバル怒濤の1週間

Subaru

今週はスバルのモデルチェンジや特別仕様車が毎日のようにリリースされて驚いた。エクシーガインプレッサフォレスター、サンバー。相変わらずの4ATのインプレッサフォレスターは話にならないので、パスするとして、特筆すべきはエクシーガとサンバー(ディアス)だろう。
まず、エクシーガには待望のレガシィと同じ最新のCVTが追加された。いくら性能の良い4ATとはいえ、今時お話にならなかったから、やっとエクシーガはまもとになったと言える。もし、私が初期エクシーガのオーナーなら、ある程度覚悟はしていたとは言え、やはりマイナーチェンジでのCVT搭載のニュースは首をつりたくなるくらいのショックだろう。
いずれにしろ、私はエクシーガが好きだ。レガシィはアメリカンサイズに肥大化して納得できないが、同じ大きさでもエクシーガは7人乗りということで、他のオデッセイやMPVと同じで納得できる大きさだ。価格も内容を考えると大変リーズナブルで、今回のCVT搭載でますます魅力が増したと言える。

そして、サンバー。現存するスバルの最も古いモデルであるサンバー。スバルだけではなく、日本の自動車工業史に燦然と輝く名車サンバー。マイナーチェンジはある意味スバリストには大きなニュースだ。まずはディアスワゴンの追加。これはスバリストには分かっていても我慢ならない残念なものだ。やはり、ダイハツのアトレーがOEMでディアスワゴンとなって登場した。3気筒エンジン、非四輪独立懸架…お話しにならない…。まぁ、スバルの4気筒エンジン、四輪独立懸架があまりに独走、特別すぎるだけなのだが、やはりあまりにダイハツのそれは見劣りすぎる。スバルのクルマにダメハツのクルマは要らない。スバルのトヨタ化は良い点ももちろん大きくあるが、悲しいかな、軽自動車のOEMはまさにこれこそトヨタ化の悲劇そのものである。
日本には世界に誇れる名車がたくさんあるが、軽自動車は世界市場ではなく、日本独自のものだが、これほどの小さなボディにすばらしい性能を詰め込んだまさに日本が最も誇れる工業製品であり、その中でスバルのサンバーはスズキのジムニーに並んで世界に誇れる偉大な小さな巨人だ。
ことスバルにおいて、サンバーはレガシィインプレッサも歯が立たない偉大すぎるクルマである。
いまさら説明の必要はないが、後方に660ccながら4気筒エンジンという極めて贅沢なユニットを後輪駆動で走らせるRR車。他社では普通車でも希な四輪独立懸架という、世界的にも唯一無二の車だ。小さな1BOXに贅沢すぎる性能を詰め込んだ小さな巨人サンバー。巷では「農道のポルシェ」とも称され、根強いファンから長年支持されている。赤帽にも採用されているのは有名な話だ。今時同じクラスにあって、これほど他社の車と性能差がある特別秀でた車は珍しい。
私の実家でも先代のサンバークラシックを保有している。もう12年にもなるが、モーターのように回るスムーズで、RR駆動で静粛性にすぐれた4気筒エンジン。四輪独立懸架の猫足のような足回り…、こんなすごい車は世界中を探しても無いだろう。
今回、既存のサンバーがマイナーチェンジをした。今回で3度目くらいになるのだろうか。これで最後だろうか。最後のサンバーなのだろうか。外観は相変わらず格好悪い。かっこ悪すぎる。いかにもスバルらしいひどいデザインだ。今回もフロントグリルを変えてきたが、まるで装甲車のようなデザイン。これほど何度もフロントグリルを変えても不格好なのはよほどベースのデザインがひどいのだろう。内装も酷い。特にインパネデザインはまるで80年代の古さだ。また、現行型サンバーは先代のCVTから交代してオートマはなんと3ATになっている。怒りを通り越してあきれるほどだ。でも、なぜだろう、これほど醜いのに、今となってはサンバーをなんだか許してしまう。もう許してしまうほどの偉大なサンバー。例えいろんな部分が劣ったとしても、もうまもなく無くなってしまうことが分かっている今となっては、サンバーはその存在自体で全て許せてしまう。
今回、ディアスワゴンダイハツ・アトレーが採用になったが、サンバーディアスとして既存のスバル車も残っている。これは全国のスバルファンの悲痛な叫びを考慮しての措置なのだろう。
スバルのトヨタ化…、生き残りを懸けるビジネスとしてトヨタ化は良い面もあるが、トヨタ化によるスバルの軽自動車滅亡はやはりスバルファンの悲痛な叫びだけではなく、日本の自動車工業界において断末魔とも言える汚点で極めて残念としか言いようがない。