Abbey Road 50周年エディション

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一昨年のSGペパーズ、昨年のホワイトアルバムに続いてアビーロードの50周年エディション。3作とも2枚組をチョイスしている。正直、そこそこの音響設備じゃないと、俺の現在のオーディオシステムでは前回のデジタルリマスターほどの音質向上は分からない。未発表音源も、昔のアンソロジーほどの新鮮さもない。でもやはりスルーできない。少なくとも、未発表音源の音質は素晴らしいので、表現するならアンソロジーのデジタルリマスター盤と言っても良いのかもしれない。

浅間温泉の公衆浴場「鍵湯」

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浅間温泉入り口

信州松本に移住して2年。浅間温泉に新築を建てた。浅間温泉という場所を選んだのは北アルプスの眺望が良いという事と、もちろん身近に温泉に入れること。
お隣の美ヶ原温泉と並び「束間の湯」として奈良時代の文献に出てくるほど歴史が長い温泉地。小さく隠れ家的なお宿がいくつか点在する美ヶ原温泉と違い、浅間温泉は大きなホテルから歴史ある高級旅館まで様々で、かつては松本駅から路面電車が直通していたほど賑わった一大温泉地。しかし今ではまさに日本の衰退した典型的な温泉地といった感じで、すっかり寂れている。例によって大○戸温泉や○快リゾートみたいな格安ホテルグループが潰れたホテル跡地を買収して運営しているのもあれば、星野リゾート界が進出していて、プロから見たらまだ可能性?魅力?の余地があるようだが…。

浅間温泉は3つの日帰り入浴施設の他に、13箇所もの地元専門の公衆浴場があり、温泉ファンには特筆すべき温泉地。見た目は小さな公衆便所みたいだが、木造からコンクリート製、掘っ立て小屋みたいなものまで様々で、13箇所を全部探すは困難なくらい寂れた温泉街に溶け込んでいる。例えば別府や由布院、同じ長野県で言えば諏訪のように一般の家庭にお湯がひかれているほど豊富な湯量には恵まれていないが、13箇所というのは国内有数の規模。かつては番台が常駐して一般客や観光客も入れた浴場がいくつかあったけど、今は湯坂通りにある「仙気の湯」一箇所のみ。野沢温泉草津温泉のように今でも多くが観光客や一般客に開放されているのとは違い、契約した地元民専用の浴場となっている。すっかり閉鎖的になっているが、管理運営する人たちの高齢化、コストの問題、そして一般利用者のマナーなど、様々な問題で今にいたっているようだ。
お湯は源泉温度50℃。やや硫黄味のある無色透明の単純アルカリ性。使用温度も肌に刺さるようなキリリとした熱いお湯がたまらない。いくつかの源泉をブレンドして各公衆浴場に配湯されている。恵まれた高温泉のおかげで、加水加温無し、消毒も循環ろ過も一切無しで完全かけ流し。まさに文句のつけようのない100点満点のスペック。自宅から一番近いとある公衆浴場と契約。一人月¥2000(各施設によって異なるが、¥2000~¥3000が相場のよう)。温泉でない沸かし湯の公衆浴場でも1回¥400くらいが相場だから、5回入れば元が取れる。我が家はあえて新築時に自宅にお風呂は設けず、完全な温泉生活を送ることにした。

各公衆浴場は湯の権利を持った個人がそれぞれ管理運営し、直接その湯権者と契約すると鍵をもらい、入口を開けて入る。なので「鍵湯」と呼ばれている。各公衆浴場によっても違うが、自分のところは朝5時半から夜9時半まで入り放題。時間外は清掃時間となり、湯権者自らが毎日掃除しているところもあれば、業者に委託して清掃しているところもありいろいろ。
殆どはシャワーなどの設備が無く、椅子も桶も一切なし。お湯の出る蛇口も一箇所のみ。洗髪や体を洗うのは一般の家庭のように桶で湯船からお湯を汲んで流す。湯船の大きさは4~5人が入ればいっぱいになる程度。昔から利用している地元の年配者はもちろん、信州大学が近く、寮やアパートが多いので、学生さんの利用も多い。日々老若男女が挨拶を交わしながら公衆浴場を利用する信州の温泉生活が見られる。

このように浅間温泉は一般に開放されている昔からの公衆浴場が少ないので、他の信州の温泉地と違い「大湯」と呼ばれるシンボルの浴場がない。北陸地方で言えば「総湯」のように。各個人が運営管理していることもあり、浅間温泉の観光協会でも13箇所の公衆浴場の実態がよく分からず把握できていない。なので、温泉を利用していない地元民に鍵の事を聞いてもほとんど知らないようだ。

そんなことで個人的に今の鍵湯と契約するまでに情報収集などほんとうに苦労した。個人が管理しているが故に、どこの人とも分からない人に利用されては困る、マナーの悪い人に利用されては困るなど、最初は結構警戒される。仕方のないことだ。でも晴れて認めてもらい、湯仲間となり鍵を手に入れると、信州の温泉生活を満喫できる(逆に言えば、ちゃんと挨拶ができ、マナーに問題のない常識のある人なら誰でも利用できるということ。実際に地元の浅間温泉に住んでいなくても、近隣の松本市民だけでなく、遠く安曇野に住んでいる人も利用している人がいるらしい)。

 

長野県は温泉の数では北海道に次いで全国2位だけど、温泉の銭湯の数は日本一。多くの県民の生活にとって温泉が身近。冷涼な気候の県にもかかわらず、平均寿命が男女共長いのは、温熱で体の免疫が上がり病気になりにくい、近所の者同士会話が弾みストレスも発散。温泉の賜物ではないかと思う。

レッドブル・ホンダついに勝利

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レッドブル ホンダ

蓋を開けてみれば、前評判の高かったフェラーリも太刀打ちできないくらい、圧倒的なメルセデスの連続優勝が続いた今年のF1。期待されたレッドブル・ホンダも若きエース、フェルスタッペンの驚異的なドライビングで何とか表彰台に手が届く程度。懸命のアップデートのホンダのエンジンはまだまだ上位2チームに及ばず、マクラーレンルノーにも追いかけられる展開だった中、突如と言ってもいい、まさかのオーストリアGPで13年ぶりのホンダ勝利。
予選でハミルトンのペナルティでフェルスタッペンが2位に繰り上がり、久しぶりの表彰台が狙える程度で期待していた。しかしスタートで出遅れたニュースを見て、寝てしまった。今回も駄目だなと諦めていたのが、朝起きて一応結果をチェックしたらまさかの今季初勝利。ホンダとしては13年ぶりのF1での優勝。驚いた。ダイジェストの動画を見たら、フェルスタッペンの怒涛の追い上げと追い抜きのショウ。最近のレースではベストな展開だった。
冷静になって戻ってみると、高温となったレースで、メルセデスの冷却能力という欠点が露呈されたが、少なくともフェラーリとはガチな速さで圧倒した今回のレースは、決してすべて敵失での勝利ではなく、ホンダエンジン、レッドブルシャシー、フェルスタッペンの凄さという3つがうまくいった結果なので、これはすごく収穫だった。
もちろん、これからのレースでメルセデスの欠点が露呈しないコンディションでは、依然としてメルセデスの優位は続くだろうが、フェラーリとは対等に戦えそうで、残りのレースでホンダが何回優勝できるか楽しみになってきた。

2019 F1GP 初戦でレッドブル・ホンダ3位入賞

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2019F1グランプリ レッドブル・ホンダ3位入賞 

復帰後マクラーレンにさんざんこき下ろされ、トロロッソでぬるま湯に浸かっていたホンダも、シャシー性能抜群の現一流チーム、レッドブルにエンジンを供給するとなればもう言い訳は許されない。
開幕でとりあえず3位となってホッとした。もちろん、レッドブルなら優勝してもおかしくないチーム。表彰台の真ん中でないといけない。レッドブルシャシー性能、フェルスタッペンという若いドライバーの才能によって今回の結果があると思うけど、確かにマクラーレン時代の酷いエンジンとは見違えて信頼性と力強さを兼ね備えているようだ。
でもやはりはっきりメルセデスとの歴然とした差が判明した。前評判が高かったフェラーリを抜き去り抑えた結果とはいえ、サーキットの相性など、フェラーリ本来の実力が出なかっただけだと考えると、まだまだ3強の中では2~3位争いのような感じがする。

開幕前の合同テスト走行から、ホンダを褒めちぎっている(褒め殺している)レッドブルだが、この先ホンダのパワー不足、信頼性にゆらぎが出た途端、彼らは手のひらを返したようにホンダを批判するだろう。マクラーレン以上に、F1チームで最も他社を容赦なく文句を浴びせ悪口を公然と放つレッドブル。そして若いドライバーながらフェルスタッペンも去年のルノーへの容赦ない攻撃をしたことを考えると、いずれホンダも不甲斐ない結果ならすぐその矛先が向かうだろう。

始まったばかり。これから迫ってくる荒波を乗り越え、なんとか成功するようホンダを応援したい。

可変圧縮とガソリン圧縮着火エンジン

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日産VCエンジン

今年もカーオブザイヤーが出揃い、2年連続でボルボSUVが輝いた。とにかく、昨今猫も杓子もSUVのようで、このシェイプの車は昔からあって決して新しいデザインの車じゃないのに、どうしてこんなに流行るのかよく分からない。

個人的にはやはりスズキのジムニー。あと国内では来年デビューの新型カローラ。ついに3ナンバーと大きくなってしまうのは残念だけど、デザインがなかなか良い。そしてダイハツのミラ・トコット。可愛いさとシンプルさのバランスが良くて気になる。

そして、一番興味が惹かれたのは2つのエンジン。日産の可変圧縮エンジンとマツダの圧縮着火ガソリンエンジン。前者はコンロッドとクランクシャフトに機械的な細工を施し、自在に圧縮比を変化させる。理屈で分かっていても、それを機械的に実現するのは夢の技術と言われるくらい困難なことで、実現させた日産はさすがかつて技術の日産と言われただけある。

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マツダスカイアクティブXエンジン

後者はガソリンエンジンながら、ディーゼルエンジンのように空気を圧縮して自己着火させる、これも夢のエンジン。ディーゼルエンジンのように高い圧縮比で熱効率が高く燃費が良く、ガソリンだからススも出ない。良い事ずくめだけど、まだ現状は高負荷時にはスパークプラグで着火させるとのことで、夢の技術としては道半ばで頂上には達していない模様。でも昨今の内燃機関を突き詰めているマツダの技術はすごいと改めて思い知らされた。今度の新型アクセラに搭載されるとのことだけど、ハイブリットと併用させれるとのことで、むしろ個人的にはこの技術のエンジン単体で乗りたいもんだ。

ほんとうはこのあたりはホンダとかにも頑張って欲しいけど、ハイブリッドに力を入れているので、かつてCVCCやVTECを生み出したような、こういう技術が出てこないのはなんとも寂しい。

デリカD:5のマイナーチェンジ

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デリカ

デリカのマイナーチェンジには心底びっくりした。事前の噂では最近の三菱のアイデンティティー”ダイナミックシールド”的な、アウトランダーのミニバン版をイメージしてたので、意表を突かれた。デリカの存在は今では数少ないアンチ・アルヴェルの受け皿だと思っていただけに、まさかのオラオラ系「デリカ、お前もか!?」
いや、このデザインはオラオラ系とは似て非なるものなのかもしれない。もうさっぱり分からなくなってきた。

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アルファード



そんなオラオラ系の大先輩で絶対君主、アルファード様の現行モデルはジャギに似ていると思うのは俺だけだろうか…。

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エリック・クラプトン「12小節の人生」

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エリック・クラプトン 12小節の人生

ほぼ全国の映画館で大ヒットロングラン中のクイーン、フレディ・マーキュリーの伝記映画「ボヘミアン・ラプソディ」とは対象的に、都市圏の一部の映画館でひっそりと上映が始まったエリック・クラプトンの伝記映画「12小節の人生」を見てきた。

前者のはクイーンをあまり知らない人でも楽しめる、そっくりな俳優がクイーンを演じ、大ヒット曲のオンパレードで、太く短く生きたフレディ・マーキュリーを華々しく描く。

それに対し、後者のクラプトンはドキュメンタリー形式で、彼の深く長い苦悩をそのまま痛々しく重々しく伝える映画。個人的にクラプトンのアルバムはほぼ持っていて、音楽も彼の音楽人生は書籍などで追ってきたので、この映画の内容はほとんど既知の内容を映像として見ただけのことだったけど、やはり改めて彼のギター、歌詞が心に深く染みた。

はっきり言って、自身の過去の恥部、苦悩をこれほどさらけ出すのはかなり苦しく大変なことだったろうと思うけど、例えばドラックやアルコール中毒など、彼が私費を投じて更生施設を建設して運営しているだけあり、自身の過去を晒すことで、同じように苦しんでいる人達のためのものでもあり、彼が今こうやって妻や子供というかけがえのない家族に恵まれ、幸せな余生を送っている事実が彼をそうさせているのかもしれない。
若い頃の孤独、絶望、拒絶…、その原動力によってギターを弾き、彼を世界的なスターに押し上げたけど、映画のラストで幸せそうな、普通の爺になっているクラプトンを見ると、やはり一人の人間として、家族の愛に恵まれていることがいかに大切であるか、酒やドラックに侵されない当たり前の生活がいかに素晴らしいことか。反面教師というにはちょっと単純すぎるけど、この映画を通じて一人の人間の壮絶な人生を見させられ、考えさせられる。

彼の苦悩、愛、酒、ドラック…、皮肉にもそれらによって生み出されたクラプトンのかずかずの名曲、名演は形は違えどクイーンと同様に永遠だな。